読書感想文

【夏休みの宿題 '17】『「世界で戦える人材」の条件』読了。

投稿日:2017/08/14 更新日:

いま、会社のグローバル関連の長期研修に参加しています。先日の研修で、参考書が紹介されましたので、夏休みの宿題と称して、何冊か読んでみることにしました。

夏休みの宿題 '17

以下、目次です。この記事では1冊目をご紹介します。

  1. 『「世界で戦える人材」の条件』著:渥美育子
  2. 『砂の文明 石の文明 泥の文明』著:松本健一
  3. 『日本 -その姿と心-』
  4. 『沈黙のことば』著:エドワード・T・ホール
  5. 『木を見る西洋人 森を見る東洋人』著:リチャード・E・ニスベット

『「世界で戦える人材」の条件』

以降、気になった点について、本文を引用しながら、僭越ですがワタシの見解や感想も添えて書いています。

「世界で戦える」人材の条件 (PHPビジネス新書)

世界で戦える人材に必要な3つのこと

筆者は、自身が長年グローバル教育に携わってきた経験から、世界で戦える人材の要件は次の3つだと言っています。

世界で戦える人材の三つの要件とは
①世界「全体」としっかり向き合う
②世界を「くぐる」
③見えないものが見えてきて、どのように世界を変革したらいいか、はっきりする

『「世界で戦える人材」の条件』P65

①について筆者は、出発点で世界全体と向き合うことが大切だと言います。自分・自国から世界へ、ではなく、初めから世界全体で捉えること。次に、②の世界をくぐる体験が必要と言っています。「くぐる」と言うのは筆者特有の表現で、“表面的に接するのではなく、時間軸・空間軸からなる世界の内面をリアルタイムで進んでいく衝撃的な体験”を指しています。最後の③は、①②を通じた結果として到達できると言っています。

要は、地球儀や世界地図レベルの大きな俯瞰図として世界を見て、世界について読書とか研修で学ぶのではなく現場に飛び込んで経験せよ、と言うことでしょうか。

グローバルの定義と国際化との違い

筆者は、グローバル化について、そもそもその定義が曖昧であることが日本のグローバル化が遅れている一因と見ています。

そして、日本ではグローバル化と似たような意味合いで用いられることが多い国際化(インターナショナル化)について、それぞれ次のように定義しています。

・インターナショナル=「国」単位で国と国の関係を中心に世界を見る発想、視点、動き
・グローバル=「地球」単位で世界全体を見る発想、視点、動き

『「世界で戦える人材」の条件』P71-72 

また、80年代に大成功を収めた日本が90年代に失速した原因は、国際化からグローバル化への移行ができなかったことにあると指摘しています。

本当のグローバル人材になるための5つの道

大成功後の失速から約20年近く経った今でも、日本はグローバル化から取り残され、多数の勘違いが日本国内に生まれてしまっているという見解から、筆者はあるべきグローバル人材になるためとして次の5つの道を示しています。

道1 グローバルマインドを持つ
道2 <文化の世界地図>で、世界を俯瞰的に見る
道3 倫理とリーガルマインドを強化する
道4 日本のDNAを磨き、日本型グローバル人材を目指す
道5 二一世紀の学習方法に切り替える

『「世界で戦える人材」の条件』P101

グローバルサイズの大きな器を持つ

道1については、概念がかなり広範で理解しきれていないのですが、例えば、よくない事例としては、「海外の現地法人で日本人社員が偉そうな態度を取ったり、現地社員を見下したりする」「海外支店で日本らしい対応が見られず、現地の同業他社と同レベルの接客しか提供されていない」というようなことが挙げられていました。

また、グローバルマインドを、“世界全体と向き合い、すべての現実を受け止める「最大スケールの心」”と筆者は説明しており、日本で生まれ育った人が持つ日本の現実を受け止めるのにちょうど良いサイズの心では、グローバルスケールに対応できないとしています。

実際にできるかどうか、キープできるかどうかは別問題としてありますが、まずは大きな世界観、大きな心を持つ必要がありそうですね。筆者は「心眼」で捉えるのが良いと言っています。確かに今まで見たことがないし、見ようと思ってもすぐには見えないものは、まずは心の眼で見るしかないですね。

そして、グローバルマインドに加えて、適した思考パターンが必要で、それは7パターンあると言います。面白いなと思ったものを以下に引用します。

②最大の空間軸(世界空間)と時間軸(五〇〇〇年)と現場
 世界の人にあって、日本人にあまりないものの一つが「空間軸・時間軸でのスケール」だ。
 世界には一神教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の信者が多い。これら一神教の信者は子どもの時から天国と地獄とか、最後の審判の日といった大きなスケールの空間軸や時間軸を自然に心に設定している。
(中略)
 以前、米国の通商部の代表が中国政府に「知的財産権を守らない人に厳罰を」と主張した時のことだ。中国政府は、「中国は漢字や羅針盤を発明したが、世界中の人たちは特許料を払わずに自由に使っているではないか」と反論したという。

『「世界で戦える人材」の条件』P108-109

言いがかり感満載ですが、そういう発想を持っている、ということですもんね。筆者は、中国人の時間軸を最大スケールとして、5000年と言っているようです。

⑤マクロ-ミクロ間の旅
 一つのことを捉えるのにマクロとミクロの両方の視点を用いて説明ができれば、がぜん説得力が増す。(中略)
 たとえば地球全体の環境問題を討議する際に、東京都が①日に出すごみの量やその処理について具体的な情報を持っていれば、突然説得力が高まる。

『「世界で戦える人材」の条件』P113

確かに、全体と個別の両方を把握している人がいると、信頼性がすごく高い人だと思いますね。

あと、特に日本人に必要なものとして、「言葉・図・モデルによる強力な発信」と「スピード」が挙げられていました。納得感たっぷりです。

ただ、前者が日本人はうまいからもっとやるべしという言いっぷりなのはちょいと疑問。ワタシの決して豊富でない経験からですが、会議において、日本人を含むアジア人はあまりホワイトボードを使わないですが、欧米圏出身の人は少しでも議論が迷路に入り出すと、立ち上がって絵なり文字なりを書き始める印象です。

国・民族レベルの文化差異で新たな世界地図を描く

筆者が仕事を通して築き上げたノウハウから、いくつかの観点で新たな世界地図を描くことができたと言う。そして、その新たな世界地図は、グローバルマインドの大きな器に中身を入れていくために重要な役割を果たすということ。

六三一がグッドバランス

筆者のマップによれば、日本はモラルコードに属し、人間関係に重きが置かれますが、リーガルコードに欠ける傾向があるため、次のバランスを意識すると良いと言います。

コードのバランスは「六・三・一」で
 さて、ここまでリーガルコードの重要性を強調して説いてきたが、それは日本人にこのリーガルコードが欠けているからである。ただし、リーガルコードばかりが全面的に正しいわけではない。
(中略)
 ここで私が提唱したいのが、「六・三・一の法則」である。
 自分が生まれ育った文化コードを六割の割合で持つ。日本人の場合、モラルコードを六〇%に圧縮する。
 そして、リーガルコードを少なくとも三〇%は確保する。
 さらに、大きな力への畏敬の念を得られるレリジャスコードを少なくとも一〇%。

『「世界で戦える人材」の条件』P170-171

確かに、意識的に別のコードを自分の中に持っておくのは効果がありそうです。

そして、筆者は最後に二一世紀型の学習方法を提唱しています。

二一世紀型の学習方法の四ステップ
<ステップ1>
 心に地球儀を持つ要領で、心の中に世界全体を設定し、常に肉眼と心眼の両方で世界全体が見えるようにする。
(中略)
<ステップ2>
 心の中に設定した世界を俯瞰したとき、床に<文化の世界地図>の俯瞰図がしっかり見えるようにする。
<ステップ3>
(前略)自分が関わる部署だけでなく、自社の全歴史や現在の世界市場全体のプロジェクトもこの地図の中に導入しておけば、あなたはあなたが働く会社の社長やCEOと同じ視点でビジネスの総体を捉え、その動きを把握できることになる。
<ステップ4>
 世界のニュースを伝える日刊紙をできれば二紙ほど紙媒体で購読し、七大リージョン別や国別、業界別、会社別などに分け、スクラップブックを作っていく。

『「世界で戦える人材」の条件』P198-205

頭では理解できますが、これを実行するのが難しいのですよね…。

筆者も数多の実践経験の中から導き出されたノウハウですし、同じように現場に飛び込んで、その現場の中でこれらのノウハウを精一杯活用させてもらうしかなさそうです。

感想

筆者の渥美さんの豊富なご経験から書かれているだけに、なるほどと思うところがたくさんありましたが、やはり冒頭の三つの要件にすべて集約されているように思いました。

まずは、そもそもグローバル(地球全体)レベルで考えること。そういう大きな心を持つこと。次に、グローバルな現場に飛び込んでいき、「くぐる」経験を得ること。最後の一つについては、先の二つができていれば、自ずと見えてきそうです。

ワタシの場合、いつも日本を出発点に考えてしまっていましたので、グローバルから考えることを始め、その中の日本、あるいは自分のルーツとしての日本という風に見るところから始めたいと思います。

(おわり)

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桃猫家の夫です。 プロフィールは こちら。 桃猫家.net では、運営やデザイン等の総合プロデュースとクルマやテクノロジに関する記事の執筆をしています。

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